「mints」の導入による民事裁判手続のIT化(弁護士 井上泰幸)

 2026年5月21日、民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)が全面施行されました。

「mints(民事裁判書類電子提出システム)」と呼ばれるシステムが導入され、、弁護士は訴状の提出から準備書面・証拠の提出、判決書の受領まで、民事訴訟の手続をオンラインで行うことが原則として義務化されました。

これまでは、裁判所に紙の書類を持参したり、郵便やFAXで書面を送ったりしていたのですが、少なくとも弁護士が代理人についている事件では、そのような光景は今後ほとんど見られなくなるはずです。

正直なところ、「便利になった」という実感と、「気をつけなければならないことが増えた」という緊張感が同時にあります。たとえば証拠の提出は、これまで紙に印字して写しを作り、FAXや郵便で裁判所と相手方に送るという流れでした。それがデジタル化されたことで、ファイルの管理方法や証拠番号の付け方にも新たなルールが求められるようになりました。

依頼者の方から見れば、手続の見た目は大きく変わらないかもしれません。打合せも、ご説明の内容も、これまでと同じです。ただ、裁判所から届く書類がメールで通知されるようになったり、判決書の送達がオンラインで完結するようになったりと、手続のスピード感は変化しています。なかでも注意が必要なのが控訴期間です。これまでは郵便で送達を受けた時から控訴期間が進行するため、判決日と控訴期間の起算日には基本的には時間差がありましたが、判決書をmintsで閲覧またはダウンロードした時点から控訴期間が進行しますので、注意が必要です。

「mints」を用いた訴訟提起はこれからですが、既にシステム上の使いにくさ等も話題となっており、また裁判所は2028年3月までには「TreeeS」というシステムを導入することを予定しており、現在の「mints」のシステムに慣れても、またシステムが入れ替わってしまう予定です。

もっとも、デジタル化されても、「何を主張し、どの証拠でそれを証明するか」という訴訟の本質は何も変わりません。証拠を集め、事実を丁寧に積み上げて、依頼者の権利を守るという仕事の核心は、ファイルの形式がPDFになっても変わるものではないと思っています。 新しい仕組みをしっかり使いこなしながら、それでも変わらない部分を大切にしていき、日々の業務に邁進したいと思います。