自転車への青切符制度の導入について(2026年4月1日施行)(弁護士 松ケ下裕介)
- はじめに
去年のブログ(2024年12月)では、自転車運転中の「ながらスマホ」の禁止、罰則化や、自転車の酒気帯び運転に対する罰則の新設について紹介しました。あれから約1年が経過し、2026年4月1日から、新たに自転車へ青切符制度が導入される予定ですので、その点について紹介したいと思います。
2 青切符制度について
青切符制度とは、自動車及びバイクの比較的軽微な交通違反をした際、刑事処分の代わりに、反則金を納付することで、刑事処分を免れる制度で、正式名称としては、「交通反則通告制度」といいます。青切符とは、違反した際、上記制度により交付される「交通反則告知書」のことで、この書面が青色であることから、「青切符」と呼ばれています。
この制度は、刑事手続きを省略し、簡易な手続きにすることで、警察・違反者・裁判所の負担を軽減することを目的としています。なお、反則金を期限までに納付しなかった場合には、通常の刑事手続きに移行します。
前回のブログで紹介した自転車の酒気帯び運転は、軽微な違反ではないため、通常の刑事手続きにより処理されます。
この青切符制度は、従来、自動車及びバイクの違反にのみ適用されてきましたが、2026年4月1日から、自転車にも適用されることになりました。
3 導入経緯及び対象者等について
この制度が導入された背景としては、自転車関連の事故の割合が増加していることや、自転車関連の事故のうち、自転車側にも法令違反がある場合も多いことなどにあります。そして、この制度により、増加する自転車関連の事故を抑止することを目的としています。
対象者としては、16歳以上の自転車利用者です。
もっとも、酒酔い運転や酒気帯び運転、妨害運転などの重大な違反については、青切符制度の対象外です。そのため、16歳未満であってもこれらの重大な違反をした際には、刑事事件として扱われることがあります。
4 違反行為と反則金
現在、自転車の青色切符の対象及びその反則金の一例としては、以下の通りです。
・携帯電話使用等(保持) - 1万2000円
・放置駐車違反(駐停車禁止場所等) - 9000円~1万2000円
・遮断踏切への立入り - 7000円
・信号無視(赤色等) - 6000円
・通行区分違反(車道の右側通行、歩道通行等)- 6000円
・イヤホンの使用 - 5000円
・一時不停止 - 5000円
・無灯火 - 5000円
・二人乗り - 3000円
・並進 - 3000円
なお、自転車での交通違反により、反則金を支払った場合でも、自転車の青切符制度では違反点数が付かないため、運転免許の合計点数には影響はありません。
5 自転車の交通違反の指導取締りについて
警察庁のホームページによると、警察の方針としては、自転車の交通違反を認知した場合、基本的には現場で指導警告を行うようです。ただし、その違反が交通事故の原因となるような、歩行者や他の車両にとって、危険性・迷惑性が高い悪質・危険な違反であったときは、検挙を行い、青切符制度により反則金を支払う必要がある可能性があります。
6 雑感
以上のように、従来は、自動車やバイクにのみ青切符制度が適用されていましたが、自転車関連の事故が増加したことや自転車利用者の交通違反が増加したことから、法律が拡張され、自転車についても、処罰の対象となりましたので、自転車を走行する際は注意していただきたいです。また、青切符制度の対象は、16歳以上ですので、15歳以下は対象外となりますが、交通ルールを守り、事故を起こさないことが、年齢に関わらず重要と言えそうです。
このように、新たな法律ができたり、改正がなされたりしていきますが、私たちも日々
研鑽して知識をアップデートし、皆様の疑問やご要望に答えられるようにしていきたいと思っております。

