キャンプのマナー(弁護士 幸田直樹)

 コロナ禍から、キャンプブームという言葉をよく聞くようになったように思います。 

 我が家では、コロナ禍より前からキャンプに興味があったのですが、道具等(キャンプギアともいいますね)をそろえるハードルの高さもあって、なかなか実行できなかったのですが、コロナ禍になってしまった際に、家族でキャンプ(いわゆるファミキャン)に行くようになりました。

 キャンプでは、テントを設営したり、たき火を起こしてみたり、バーベキューなど普段とは少し趣向の違った料理を作ったりして、体を動かすことや、非日常感・自然とのふれあいで、心身ともにリフレッシュになっています。

 ここ数年は、年間数回程度ですがキャンプに行っており、少し前には、奈良県吉野郡下北山村のキャンプ場に行きました。当事務所は、橿原市内にあり南和方面にもよく行かせてもらいますが、それでも私自身が下北山村に行ったことは数えるほどしかなく、県内でのキャンプでも新鮮な気持ちで楽しませてもらいました。下北山のキャンプ場は、池原ダムが眼前に迫った圧巻の風景も楽しめ、遊具あり、河川あり、温泉ありとファミキャンには絶好の場所でした。

 奈良県の中南和には、他にもいくつも素晴らしいキャンプ場があり、行きたいけども、まだ行けてない場所も多くあり、まだまだ楽しみが残っています。

 さて、キャンプの楽しみを多くの人が共有するために、キャンプでは、マナー・ルールがあります。これらは、キャンプに限らず守るべき事柄というものもある一方、初めてキャンプをする人だと意識できないものもあるように思います。

 例えば、キャンプ場では、就寝時刻が設定されているところがあります(だいたい22時頃とされているところが多いです)。これは、通常のホテル等の宿泊施設と異なり、キャンプでは声や音がよく響くために明言されていて、クワイエットタイムなどとも言われます。

 特にテント泊では、防音機能はないに等しいので(布一枚ですので)、騒音等のない夜中では、ちょっとした話し声や音が響いてしまい、周囲の人たちの睡眠を大きく妨げることにつながります。

 さらに言えば、普段なら気にならない車のドアの開閉音が、騒音となるほどです。

 この音に対するマナーは、キャンプ経験者ばかりの集まりであれば、自身の経験から当然のことであって、殊更問題が生じることも多くないのだと思います。しかし、初心者からすれば、そのような影響を想像しておらず、知らず知らずのうちに配慮に欠ける行動をしてしまい、周囲に迷惑をかけることもあるのではないでしょうか。

 そういう側面では、マナーという形で環境を維持していくだけでなく、最低限のルールはしっかりと明記し、例えば施設側がこれを周知する必要も生じるのだと思います。

 もちろん、マナー等を明文化すると、堅苦しく感じたり、逆に明文化していないことは守らなくてよいなどと考える人が出てきてしまったりするなどのデメリットも存在します。

 しかし、全員が、同じ価値観や考え方を当然に有しているわけではありません。キャンプ場として、最低限遵守してもらうべきルールについては明記して、遵守してもらえない人に対しては、きちんと注意・助言を したり、悪質なケースにおいては相応の対応も考えたりする必要があるように思います。

 このような問題意識は、キャンプに限らず、いろいろな場面で出ていることかと思います。そして、それが、法律や、契約というものが存在して、権利義務を定めておく大きな理由です。

 キャンプにおいては、ブーム到来で多くの初心者が参加し始めた際に、共通認識が持てずに問題となったケースがあるように聞きます。これは、例えば、インバウンドで、いろいろな国から観光に来られた方が、日本では当然のことでも、諸外国からすれば特殊であって、ルールを認識しておらずトラブルになるケースも同様の問題です。そのため、いろいろな方が接する場面では、察することを求めるのはなく、決まり事・ルールとして定めておくことで、多くの方により快適に過ごしてもらうという対応が必要となっていきます。

 多くの方は、もしかすると日常生活で、法律問題等に直面することは少ないように思われるかもしれませんが、社会生活を営む以上、日常の様々な場面で、ルールの設定やその理解などに触れており、これらも法律問題と言えます。

 このように法律問題を特別視せず、上記のように、ルール等のトラブルと思うことがあれば、法律問題なのではないか?と思って、当事務所にご相談ください。